新型コロナウイルスによる不安やストレスなどの心の問題に対処するために

職場や家族とのコミュニケーション、傾聴を大切に

コロナウイルス感染症の拡大で不安と心配、恐怖さえも感じますね。今、最も求められているのはコロナウイルス感染症の特効薬、感染症診断対応です。それらの開発に力を尽くしている専門家の皆様、感染で苦しんでいる方がた、感染患者さんに関わる医療スタッフの献身的努力、外出自粛で自由が制限されている生活。世界中で、見えない敵と戦っている状況です。そんな中で大切なことは「人としてのつながり」「心の寄り添い」だと思います。外出自粛要請、テレワーク(在宅勤務・職場外勤務)が推奨されている今、職場や家族とのコミュニケーションをどうとったらよいのでしょうか。そこで、当協会が大切にしている「傾聴」について伝えさせていただきます。

コミュニケーションとは何か

「人と人とが互いの心を共有することによって、何らかの影響を与え合い、変化、成長する行為」複数の人間や動物などが、感情、意思、情報などを、受け取りあうこと、あるいは伝えあうこと。(参考Berlo.D.K.1976、Devito.J.A.1986)
職場の人や家族とコミュニケーションをとって気持ちが分かりあえることが大切ですね。
 

コミュニケーションの効果は何か

(1)話し手が受け入れられていると感じて安心感・信頼感をもつ。  
(2)安心し信頼して話せるので、心が解放される
(3)心が解放されると、自分の問題点に気づき、改善点の発見に役立つ
  ⇒自分の問題点や改善点が分かると、意識が変わり、やる気が出、意欲がわきます。
  そして、行動が変わり、習慣が変わり、生き方が変わる効果があるのです。
 

聞く人の5つの態度

態度  表現   対応  心理
評価的態度  「よい、だめな、」  批判的、否定的、比較  規範優先 
 解釈的態度 「~ということ」   推測、決めつけ 経験的尺度 
調査的態度   「なぜ、原因は?」  原因追及 先入観問題解決 
 支持的態度 「大丈夫だよ」  励まし、同情、助言  同感・同情、保障 
 理解的態度 「~という気持ち」   受容、理解的 共感、肯定的 

 
 
 
 
 
 
 
 
「E.H.ポーターの5つの態度」

人の話を聴くときにはまず理解的態度を心がけましょう。
それから原因を尋ねたり支持したりすると話した人が分かってもらえたと実感できます。


傾聴とは何か

 傾聴とは、「話す人を尊重し、その人の言ったことや感情をそのまま受け止め、聞く人が理解したことを正確に伝え返すこと」です。
そのまま受け止めるとは、「否定しない」「非難しない」「疑念をはさまない」「質問攻めにしない」「良い悪いと評価しない」「ほめもせず叱りもしない」「ダメ出ししない」「チクチク言葉を言わない」「助言・アドバイスしない」などの態度で話を聴くことです。

聞き上手になる心構え

  1. 話す人の話すテンポに合わせて、あいづちを打ち、うなずいて応答する
  2. 話の途中で言葉を挟まず、話が一段落してから発言する 
  3. 話す人の伝えたいという気持ちをできるだけ正確に理解する
  4. 話す人の話の内容を評価しない、説教しない
  5. 聞く人の興味・関心で質問するのではなく、相手を知るために質問する
  6. 意味を聞く、気持ちに応える(むやみに助言しない)
  7. 話す人の話を正しく理解できているかどうか、時々確認する
  8. 言葉だけではなく話し手の全体に目を配る

(例)
子:お母さん、僕怖い(泣く)。コロナで死んじゃうの?・・・
母:コロナの肺炎になったら死んじゃうのかなって、泣くほど怖いのね。
子:うん、テレビで死ぬって言ってた、僕どうしたらいい?(涙)
母:テレビで見て、とっても心配になったのね。お母さんも怖いけど、手洗いとうがいが大切、マスクで予防してねって聞いたから一緒に気を付けようね。
子:うん、わかった。そうだね。僕も気を付けるよ。

 

 

聞き上手でない聞き方

  1. 話し手の話の途中で質問する                                                          
  2. 話し手の話の途中で自分の意見を言う
  3. 話の途中で話し手の話を横取りする
  4. 自分の興味、関心がある箇所だけ聞く
  5. 話し手の話を上の空で聞く



(例)
部下:すみません、仕事が終わりそうもないのですが・・。
上司:何言ってるんだ、今日が締め切りだろ、何が何でも終わらせなくちゃだめだ。
部下:でも、取引先からの返事がまだ届かなくて、まとめられないんです。何度も連絡してるんですが・・・。
上司:今ごろそんなこと言ってるのか、もういい、俺がやるから。しょうがないな。
部下:・・・そうですか、すみません。。


自分の気持ちをアイメッセージ(私は〇〇と思います)で伝え、傾聴の姿勢で話を聴きましょう。よいコミュニケーションで日々を過ごし、この難局をご一緒に乗り切れることを願っています。

​一般社団法人日本産業カウンセラー協会
シニア産業カウンセラー・公認心理師 伊藤とく美


上記と同じ内容をPDFにしています。周りの方への情報提供にご活用ください。
コロナウイルス感染症対応 ―職場や家族とのコミュニケーション、傾聴を大切に―

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