ADRセンター業務規定、費用・報酬規定

ADRセンター業務規程

目次

第1章 総則

(目的)
第1条 この規程は、一般社団法人日本産業カウンセラー協会(以下「協会」という。)の組織規程第13条第2項の規定に基づき、ADRセンター(以下「センター」という。)において実施する民間紛争解決手続の業務に関し基本的事項及び手続的事項を定め、センターの適正な業務運営を図ることを目的とする。

(趣旨)
第2条 センターは、個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年法律第112号)第1条に規定する個別労働関係紛争をいう。第14条第2項第4号、第16条及び第19条第1項第2号において同じ。)及び男女間の関係の維持調整(夫婦関係調整を含む。第14条第2項第4号、第16条及び第19条第1項第2号において同じ。)に関する紛争について、当該紛争の当事者(以下「当事者」という。)の申立てに基づき、労働問題、家庭問題その他の分野に専門的知見を有する者が調停者(当該紛争に係る和解の仲介を行う者をいう。以下同じ。)となり、当事者の主体性を尊重しつつ、話合いをもとに、公正かつ迅速な解決を図る手続(以下「調停手続」という。)を行う。

(用語)
第3条 この規程において使用する用語は、特に定めがある場合を除き、協会の定款、組織規程及びADR専門委員会規程並びに裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)において使用する用語の例による。

(事務担当職員)
第4条
センター長は、調停手続に関する事務を処理させるため、事務担当職員を若干人置くことができる。
2 事務担当職員は、協会の事務局の職員のうちから、会長の承認を得てセンター長が任命する。
3 事務担当職員は、センター長の指揮監督を受けて、この規程に定めるもののほか、センター長から指定を受けた事務を処理する。

第2章 通則

(業務を行う日及び時間)
第5条
センターの業務を行う日及び時間は、月曜日から金曜日までの午前9時から午後5時までとする。ただし、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日、年末年始(12月29日から1月3日までの日)、協会の定時総会の開催の日その他協会が指定する日は業務を行わない。

(非公開原則)
第6条
調停手続は公開しない。ただし、センターが行う研究又は研修の資料として活用するため、すべての当事者の同意を得て、終了した調停手続の概要(当事者、第31条に規定する利害関係人その他調停手続に関与した者(以下この条において「当事者等」という。)の氏名又は名称(法人である場合は代表者の氏名を含む。以下同じ。)及び紛争の内容が特定されないようにすることその他当事者等の秘密保持に配慮した措置を講じたものに限る。)を印刷物の配布その他の方法により公表することができる。

(秘密保持)
第7条
協会の役員及び職員(臨時的に任用された者を含む。)並びに候補者(第14条第1項に規定する調停者の候補者をいう。次項及び次条第8項において同じ。)は、正当な理由なく、紛争の内容、調停手続の経緯及び結果その他調停手続に関し知り得た事実を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
2 協会の役員及び候補者は、その職に就任後速やかに、前項に規定する義務を遵守する旨を誓約した書面を作成し、センター長に提出しなければならない。
3 センター長は、第4条第1項に規定する事務担当職員に対し、第1項の規定を遵守させるため、調停手続に関する研修その他必要な措置を講じるものとする。

(不当な影響の排除)
第8条
協会の役員は、調停者に対し、法令、この規程その他調停手続に関する定めを遵守させる場合のほかは、調停者が調停手続の実施に当たり独立して行う職務に関し、直接又は間接に命令若しくは指示をし、又は不当な関与をしてはならない。
2 調停者は、調停手続に関し、法令、この規程その他調停手続に関する定めを遵守するとともに、独立して行うべき職務に関し何人からも命令又は指示を受けず、中立性を保持しつつ公正にその職務を行わなければならない。
3 センター長は、一方の当事者が協会の会員であるときは、第1回の調停手続の期日を開くまでに、当該一方の当事者に対し、前2項の規定の趣旨について、説明しなければならない。
4 担当調停者は、協会の役員、当事者その他の者から不当な働きかけがあった場合は、センター長に直ちに報告しなければならない。
5 センター長は、前項に規定する報告を受けたときは、直ちに不当な働きかけをした者に対し、不当な働きかけをしないよう勧告するものとする。この場合において、不当な働きかけをした者が、協会の会員であるときは、センター長は、その旨を会長に報告するものとする。
6 センター長が第5項の規定による勧告したにもかかわらず、なお調停者に対して不当な働きかけがある場合は、センター長は、ADR専門委員会の決議に基づき、調停手続の終了を決定するものとする。
7 センター長は、協会の役員及び職員、ADR専門委員会の委員並びに候補者に対して、第1項から前項までの規定の趣旨について説明することその他の措置を講じて、公正な調停手続が実施される体制の確保に努めるものとする。

(代理人)
第9条
調停手続の代理人は、弁護士その他法令により調停手続上の行為をすることができる者でなければならない。ただし、センター長(担当調停者を選任した後にあっては当該担当調停者。以下この条及び次条第1項において同じ。)は、当事者の権利利益の保護及び調停手続の円滑な進行のために必要かつ相当と認めるときは、これら以外の者を代理人とすることを許可することができる。
2 センター長は、前項ただし書の規定により許可された代理人が、当事者の権利利益を害し、又は調停手続の円滑な進行を妨げるおそれがある事由があると認めるときは、当該許可を取り消すことができる。
3 当事者は、代理人を選任したときは、速やかに、その代理権を証する書面をセンター長に提出しなければならない。

(補佐人)
第10条
センター長は、当事者の権利利益の保護及び調停手続の円滑な進行のために必要かつ相当と認めるときは、補佐人を当事者又は代理人とともに、調停手続の期日に出席させることを許可することができる。
2 補佐人は、出席した調停手続の期日において、担当調停者の許可を得て陳述することができる。この場合において、その陳述は、当事者又は代理人が直ちに取り消さないときは、当事者又は代理人が自らしたものとみなす。
3 前条第2項の規定は、第1項の規定により補佐人の出席を許可した場合について準用する。

(調停手続の通知)
第11条
調停手続に関する通知は、第19条第3項、第21条第1項、第22条第4項、第30条第6項、第34条第4項及び第35条第5項(第36条第3項、第37条第3項及び第38条第4項において準用する場合を含む。)の規定により配達証明郵便で送付する方法により当事者に通知するとしているものを除き、口頭による告知、普通郵便、ファクシミリ、電子メールその他通知の性質に応じた適宜の方法により行うものとする。
2 配達証明郵便で送付する方法により当事者に通知するとしているもの以外の通知について、当該通知をした者は、その通知を受けた者(電話による通知にあっては、通話者の氏名及び通知を受けるべき者との関係を含む。)、通知の内容、方法及び年月日を記載した書面を作成して、センター長に提出しなければならない。
3 センター長は、前項の規定により提出された書面を第40条第1項に規定する手続実施記録に編綴し、保存するものとする。

(資料の取扱い)
第12条
調停手続に関し提出された資料は、返還しない。ただし、資料を提出した者から返還の請求があったときは、センター長は、当該資料の写しを作成して、当該資料を返還する。
2 センター長は、調停手続に関し提出された資料(前項ただし書の規定により作成された資料の写しを含む。)を第40条第1項に規定する手続実施記録に編綴し、保存するものとする。

(助言弁護士)
第13条
会長は、担当調停者が調停手続の実施に当たり法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときに、弁護士の助言を受けることができるようにするため、特定の法律事務所との間で担当調停者に助言をする弁護士(以下「助言弁護士」という。)を選任すること、助言の方法その他助言に関し必要な事項を約する契約を締結するものとする。
2 助言弁護士は、2人以上の弁護士を確保しなければならない。

第3章 調停者候補者

(調停者の候補者)
第14条
協会は、調停手続を行う調停者の候補者(以下「候補者」という。)を協会の正会員であって協会が資格認定試験を実施する産業カウンセラーの資格を有する者のうちから確保する。
2 候補者は、次の各号のいずれかに該当する者であって、協会が指定する研修を修了したもののうちからADR専門委員会の意見を踏まえ、会長が任命する。

  1. 社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)第14条の11の3第1項の規定による付記を受けた社会保険労務士
  2. 家事事件手続法(平成23年法律第52号)第249条第1項に規定する家事調停委員の職にある者又はあった者
  3. 民事調停法(昭和26年法律第222号)第8条第1項に規定する民事調停委員の職にある者又はあった者
  4. 個別労働関係紛争又は男女間の関係の維持調整に関する紛争に係る問題について豊富な知識及び経験を有する者であって、調停手続の調停者にふさわしい者として協会の理事会が推薦したもの

3 候補者には、前項第1号から第3号までに定める者それぞれ5人以上が含まれていなければならない。
4 前2項の規定にかかわらず、禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、候補者となる資格を有しない。
5 候補者の任期は、任命の日から2年とする。ただし、再任を妨げない。

(候補者名簿)
第15条
センター長は、候補者の氏名、資格、専門分野その他ADR専門委員会が別に定める事項を記載した候補者の名簿(当該名簿に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下「候補者名簿」という。)を作成し、センターに備え置くものとする。
2 候補者名簿は、前条第2項各号の区分ごとに、それぞれ作成するものとする。
3 センター長は、候補者について、前条第3項に規定する事由の有無を定期的に、及び随時確認し、その結果に基づき、候補者名簿の記載の変更その他の必要な措置を講じるものとする。

第4章 調停手続

第1節 調停手続の実施の依頼等

(調停手続)
第16条 個別労働関係紛争及び男女間の関係の維持調整に関する紛争の当事者は、センターに調停手続の申立てをすることができる。

(調停手続の説明)
第17条
 センターは、調停手続を申立てようとする者(以下、申立てをした者も含めて「申立人」という。)に対して、調停手続を実施する契約(申立人が申立書を当センターに提出し、当センターがこれを受理したときに成立。)を締結するまでに、次の各号に掲げる事項を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して、当該各号に掲げる事項を説明するものとする。

  1. 担当調停者の選任に関する事項
  2. 当事者がセンターに納付する費用に関する事項
  3. 調停手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続(ADR法第2条第5号に規定する特定和解に係る手続を含む)の進行
  4. 調停手続において陳述される意見若しくは提出され若しくは提示される資料に含まれ、又は第39条第1項に規定する期日調書及び第40条第1項に規定する手続実施記録に記載されている当事者又は第三者の秘密の取扱いの方法
  5. 当事者が調停手続を終了させるための要件及び方式
  6. 担当調停者が調停手続によっては当事者間に和解が成立する見込みがないと判断したときは、速やかに調停手続を終了し、その旨を当事者に通知すること
  7. 当事者間に和解が成立した場合には、第34条第2項に規定する和解契約書を作成すること及び当該和解契約書の作成者、通数その他当該和解契約書の作成に係る概要
  8. 特定和解の成立により認証紛争解決手続が終了した場合における当該手続に係る手続実施記録の保存期間並びに記録の閲覧及び謄写又は複写に関する手続の有無及びその概要

2 センターは、申立人以外の当事者(以下「相手方」という。)に対しても、調停手続を実施する契約を締結するまでに、前項に規定する説明をするものとする。
3 前2項に規定する説明は、事務担当職員が担当する。
4 事務担当職員は、第1項又は第2項に規定する説明をしたときは、当事者から、当該説明を受けた旨を記載した書面(ファクシミリ装置又は電子メールにより送信される通信内容の記録を含む。)を受け取るよう努めるものとする。
5 前項に規定する書面の受け取りに代えて、電話により、第1項又は第2項の説明を受けた旨を聴取することができる。この場合において、事務担当職員は、聴取の内容及びその年月日を記載した書面を作成し、センター長に提出するものとする。
6 センター長は、前項の規定により提出された書面を第40条第1項に規定する手続実施記録に編綴し、保存するものとする。

(調停手続の申立て)
第18条
調停手続の申立ては、次の各号に掲げる事項を記載した調停申立書(以下「申立書」という。)を協会の事務局に提出してしなければならない。

  1. 当事者の氏名又は名称及び住所
  2. 代理人を選任した場合は、その氏名及び住所
  3. 申立ての趣旨(求める結論)
  4. 紛争の要点

2 申立人が法人である場合には、申立書とともに、当該法人の代表者の資格を証明する書面を添付しなければならない。
3 申立人は、申立てに係る調停手続の実施に関し参考となる資料がある場合には、これを申立書とともに、協会の事務局に提出することができる。
4 申立人は、申立書を提出するときは、別に定める手数料を納付しなければならない。
5 事務担当職員は、調停手続の申立てが第1項から前項までの規定に従っていないときは、相当の期間を定め、その期間内に補正すべきことを求めることができる。この場合において、事務担当職員は、補正を求める旨、その内容、その年月日及び補正期間を記載した書面を作成し、センター長の承認を得て、当該書面を申立人に交付しなければならない。

(申立ての受理又は不受理)
第19条
センター長は、前条の規定に適合した調停手続の申立てがされたときは、次の各号のいずれかに該当するときを除き、これを受理するものとする。

  1. 申立てが不当な目的によるものであり、これを受理することが第2条の規定の趣旨に反することとなるとき。
  2. 申立てに係る紛争が個別労働関係紛争及び男女間の関係の維持調整に関する紛争ではないとき。
  3. 申立てに係る紛争が調停手続に適さないと認められるとき。
  4. 前条第5項の規定により申立ての補正を求めたにもかかわらず、申立人が当該補正をしないとき。

2 センター長は、申立書が提出されたときは、速やかに申立ての要件の具備及び前項各号に規定する事由の有無を審査して、当該申立てを受理し、又は不受理とする決定をしなければならない。この場合において、センター長は必要があると認めるときは、ADR専門員会に諮り、申立てを受理し、又は不受理とする決定をすることができる。
3 事務担当職員は、センター長が前項の規定により申立てを受理し、又は不受理とする決定をしたときは、速やかに申立人に対し、決定の内容(申立てを不受理とした決定にあってはその理由の要旨を含む。)及びその年月日を記載した書面を作成し、配達証明郵便で送付する方法により通知しなければならない。
4 事務担当職員は、申立てを不受理とした決定を通知するときは、申立書(前条第2項に規定する書面を含む。以下この項において同じ。)を前項に規定する書面とともに、申立人に送付して返還する。この場合において、事務担当職員は、申立書の写しを作成して、第40条第1項に規定する手続実施記録に編綴し、保存するものとする。
5 センター長は、第2項の規定により申立ての受理を決定したときは、速やかに申立書の写しを第13条第1項に規定する特定の法律事務所に送付し、当事者との利害関係その他調停手続の公正な実施を妨げるおそれのある事由のない弁護士を助言弁護士として指名するよう依頼するものとする。

(調停手続の開始)
第20条
調停手続は、前条第2項の規定によりセンター長が申立てを受理する決定をした時に開始する。

(相手方への確認)
第21条
事務担当職員は、センター長が申立てを受理する決定をしたときは、次の各号に掲げる事項を記載した書面を作成し、速やかに配達証明郵便で送付する方法により相手方に通知しなければならない。

  1. センターに調停手続の申立てがあったこと及び当該申立てを受理する決定をしたこと。
  2. 申立人の氏名又は名称
  3. 申立てに係る調停手続の実施を依頼するかどうかの回答を求める旨及び回答期限

2 前項に規定する書面には、申立書の写し又はその概要を記載した書面、第17条第1項に規定する書面及び次条第1項に規定する調停手続依頼書の書式を表示した書面を添付しなければならない。
3 センター長は、前2項に規定する書面を相手方に送付する前に、当該相手方に対し、電話その他の手段により当該書面を送付する旨及びその趣旨を説明するものとする。
4 第1項第3号に規定する回答期限は、第1項及び第2項に規定する書面が相手方に到達した日から14日とする。

(相手方の依頼等)
第22条
相手方のセンターに対する調停手続の実施の依頼は、次の各号に掲げる事項を記載した調停手続依頼書を提出する方法によるほか、電話、ファクシミリ又は電子メールにより当該各号に掲げる事項をセンターに通知する方法によってすることができる。

  1. 相手方の氏名又は名称
  2. 調停手続の実施を依頼する旨
  3. 代理人を選任したときは、当該代理人の氏名及び資格(弁護士その他法令により調停手続上の行為をすることができる者以外の者を代理人として選任したときは、相手方との関係を含む。)

2 事務担当職員は、相手方から電話によって前項各号に掲げる事項を告げられたときは、その内容を記載した書面を作成し、センター長に提出しなければならない。この場合において、センター長は、当該書面を第40条第1項に規定する手続実施記録に編綴し、保存するものとする。
3 センター長(担当調停者が選任された後は当該担当調停者)は、調停手続の円滑な進行のために必要と認めるときは、相手方に対し、申立てに係る紛争についての意見、反論その他当該申立てについての相手方の主張を記載した書面及びその主張を基礎付ける資料の提出を求めることができる。
4 相手方が調停手続の実施を依頼しない旨の回答をしたとき又は回答期限までに調停手続の実施を依頼しないときは、センター長は、調停手続を終了する決定をするものとする。この場合において、事務担当職員は、速やかに、調停手続を終了する決定をした旨、その理由及び年月日を記載した書面を作成し、配達証明郵便で送付する方法により申立人に通知するものとする。
5 第19条第4項の規定は、前項の規定により調停手続が終了した場合について準用する。

第2節 調停者の選任

(担当調停者の選任)
第23条
センター長は、前条第1項に規定する方法により相手方から調停手続の実施の依頼があったときは、候補者名簿に記載されている者のうちから、担当調停者(申立てに係る紛争の解決をするのにふさわしい者で、かつ公正性を疑わせる事情のない者をいう。以下同じ。)を1人選任する。ただし、センター長が事案の内容等からみて相当と認めるときは、2人以上の担当調停者を選任することを妨げない。
2 担当調停者として選任された候補者は、特別の支障がある場合を除き、受任を拒んではならない。
3 センター長は、担当調停者に対し、申立ての内容及び当事者の状況を説明し、関係書類を添えて、調停手続の実施を依頼する。
4 事務担当職員は、センター長が第1項の規定により担当調停者を選任したときは、当該担当調停者の氏名を当事者に通知しなければならない。
5 センター長は、第1項の規定により担当調停者を選任したときは、第19条第5項に規定する依頼に基づき、特定の法律事務所が指名した弁護士を申立てに係る案件を担当する助言弁護士として選任しなければならない。この場合において、事務担当職員は、選任された助言弁護士の氏名を、速やかに担当調停者に通知しなければならない。
6 センター長の職にある者は、原則として担当調停者になることができない。

(担当調停者の除斥)
第24条
センター長は、次の各号のいずれかに該当する候補者を担当調停者に選任してはならない。

  1. 候補者又はその配偶者若しくは配偶者であった者が当事者であるとき、又は申立てに係る事案(以下この項において「事案」という。)について当事者と共同権利者、共同義務者若しくは償還義務者の関係にあるとき。
  2. 候補者が当事者の四親等内の血族、三親等内の姻族若しくは同居の親族であるとき、又はあったとき。
  3. 候補者が当事者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人であるとき。
  4. 候補者が事案について証人又は鑑定人となったとき。
  5. 候補者が事案について当事者の代理人又は補佐人であるとき、又はあったとき。
  6. 候補者が賛助会員である団体の役員又は使用人である場合であって、当事者が当該賛助会員である団体であるとき。
  7. 候補者が事案について仲裁判断に関与したとき。

2 事務担当職員は、センター長が前条第1項の規定により担当調停者として選任しようとする候補者に対し、前項各号に掲げる事由について、あらかじめ電話その他適宜の方法によりその該当の有無を確認しなければならない。
3 担当調停者は、第1項各号に掲げる事由のいずれかに該当することとなったときは、直ちにセンター長にその旨を報告しなければならない。

(担当調停者の忌避)
第25条
当事者は、担当調停者に調停手続の公正な実施を妨げるおそれがある事由があると認めるときは、当該担当調停者の忌避を申出ることができる。
2 前項に規定する忌避の申出は、次の各号に掲げる事項を記載した書面をセンターに提出してしなければならない。

  1. 忌避を申出る者の氏名
  2. 忌避の対象となる担当調停者の氏名
  3. 忌避を申出る理由

3 担当調停者は、調停手続の公正な実施を妨げるおそれのある事実があるときは、速やかにその事実を当事者に開示するとともに、開示した旨及びその内容をセンター長に報告しなければならない。
4 当事者は、担当調停者から前項に規定する開示を受けたときは、やむを得ない事情がある場合を除き、開示を受けた日から14日以内に忌避の申出をしない限り、開示を受けた事実に基づいて忌避を申出ることはできない。
5 事務担当職員は、第2項に規定する書面がセンターに提出されたときは、速やかに忌避の申出があったことを当事者(忌避を申出た者を除く。)に通知しなければならない。
6 センター長は、第2項に規定する書面がセンターに提出されたときは、速やかにADR専門委員会委員長(以下「委員長」という。)に、その旨を報告しなければならない。
7 委員長は、前項に規定する報告を受けたときは、速やかに次条第1項に規定する忌避調査委員会を設置し、忌避の申出に理由があるかどうかを調査審議させ、ADR専門委員会に報告させるものとする。
8 ADR専門委員会は、前項に規定する報告に基づき、忌避の申出の理由を審査し、当該申出を認めるかどうかを決定して、センター長に報告するものとする。この場合において、事務担当職員は、速やかに当該報告の内容を当事者に通知しなければならない。
9 第5項から前項までの規定にかかわらず、センター長は、すべての当事者から第2項に規定する書面が提出されたときは、担当調停者を解任するものとする。

(忌避調査委員会)
第26条
忌避調査委員会は、担当調停者に係る忌避の申出に理由があるかどうかについて、当該担当調停者、忌避を申出た当事者その他関係者の意見及び主張を聴くなどして調査審議する。
2 忌避調査委員会は、委員3人をもって組織する。
3 忌避調査委員会の委員(以下この条において「委員」という。)は、ADR専門委員会委員(忌避の対象となる担当調停者である者を除く。)のうちから、委員長が指名する。
4 忌避調査委員会にその委員長(以下「忌避調査委員長」という。)を置き、委員の互選によって定める。忌避調査委員長は、忌避調査委員会の事務を統括する。
5 忌避調査委員会は、すべての委員が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。
6 忌避調査委員会の議事は、委員の過半数で決し、可否同数のときは、忌避調査委員長の決するところによる。
7 忌避調査委員長は、第1項に規定する調査審議が終了したときは、速やかにその結果をADR専門委員会に報告しなければならない。
8 忌避調査委員会は、前項に規定する報告をした時に解散する。

(担当調停者の辞任)
第27条
担当調停者は、正当な理由があるときは、センター長の承認を得て辞任することができる。

(担当調停者の解任)
第28条
センター長は、第25条第9項に規定する場合のほか、次の各号のいずれかに該当するときには、担当調停者を解任する。

  1. 第24条第1項各号に規定する事由のいずれかに該当することが判明したとき(第24条第3項に規定する報告を受けたときを含む。)。
  2. 第25条第8項に規定する決定の内容が忌避の申出を認めるものであったとき。
  3. 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えられないと認めるとき。

2 センター長は、担当調停者を前項第3号の規定により解任するときは、当該担当調停者に弁明の機会を与えなければならない。

(後任の担当調停者の選任)
第29条
センター長は、第25条第9項及び前条第1項の規定により担当調停者を解任したとき並びに第27条の規定により担当調停者の辞任を承認したときは、第23条第1項の規定に従い、後任の担当調停者を選任しなければならない。
2 第23条第2項から第4項までの規定は、前項の規定により後任の担当調停者を選任した場合について準用する。

第3節 調停手続の進行

(調停手続の期日等)
第30条
第1回の調停手続の期日を開く日時及び場所は、センター長が当事者及び担当調停者の日程を調整して決定する。この場合において、事務担当職員は、決定した期日の日時及び場所を記載した書面を作成し、特別の事情がある場合を除き、当該期日を開く日の7日前までに当事者に送付しなければならない。
2 第2回以降の調停手続の期日を開く日時及び場所は、期日において担当調停者が当事者の日程を調整して決定し、当該期日における口頭による告知によって通知する。この場合において、第4項ただし書の規定により一方の当事者が欠席した状態で期日を開いたときは、当該一方当事者に対して、次回の期日を開く日時及び場所を記載した書面を作成し、送付するものとする。
3 調停手続の期日を開く場所は、センターの事務室とする。ただし、担当調停者が調停手続の円滑な進行のために必要と認めるときは、双方の当事者の同意を得て、センターの事務室以外の場所で期日を開くことを妨げない。
4 調停手続の期日は、双方の当事者が出席しなければならない。ただし、次の各号に掲げる場合であって、担当調停者が当事者間の衡平を害しないと認める場合に限り、当該各号に規定する一方の当事者が欠席した状態で調停手続の期日を開催することができる。

  1. 一方の当事者が調停手続の期日に出席すると回答したにもかかわらず、無断で当該期日に欠席した場合
  2. 一方の当事者が、あらかじめ、他方の当事者のみが出席した状態で調停手続の期日を開くことについて同意している場合

5 前項ただし書の規定により一方の当事者が欠席した状態で調停手続の期日を開いた場合は、担当調停者は、次回の調停手続の期日(当該一方の当事者が出席したものに限る。)において、当該一方の当事者に対し、当該一方の当事者が欠席した状態で開いた調停手続の期日の概要を告げなければならない。
6 センター長は、特別の事情がある場合を除き、第1回の調停手続の期日が開かれる日の7日前までに申立人から提出された資料の写し並びに第22条第3項に規定する書面及び資料の写しを配達証明郵便で送付する方法により助言弁護士が指定する場所に送付しなければならない。
7 助言弁護士は、前項の規定により送付された書面の写し等では、事案の判断が困難と認められるときは、センター長(担当調停者が選任された後は当該担当調停者。以下この項において同じ。)に対し、当該事案の判断に必要と認められる資料を当事者に提出させるよう求めることができる。この場合において、センター長は、当事者に対し、当該資料の提出を依頼しなければならない。

(利害関係人の参加)
第31条
担当調停者は、調停手続の円滑な進行のために必要と認める場合であって、双方の当事者の同意があるときは、利害関係人(調停手続の結果に利害関係を有する者をいう。第39条第2項及び第42条第1項において同じ。)を調停手続に参加させることができる。

(調停手続の進行)
第32条
担当調停者は、4回以内の調停手続の期日又は3か月以内の期間で当事者間に和解が成立するように努めなければならない。
2 当事者の主張は、書面又は調停手続の期日における口頭によるものとする。担当調停者は、当事者に対し、主張を明確にし、又は紛争の解決に必要な書類その他の資料の補充を求めることができる。
3 担当調停者は、調停手続の期日において、当事者の主張、提出された申立書その他の資料を参酌し、当事者の話合いにより、自主的な紛争解決に至るよう努めるものとする。
4 担当調停者は、助言弁護士の助言に従って調停手続を進行しなければならない。
5 調停手続の期日は、双方の当事者を同席させて行う。ただし、担当調停者は、調停手続の円滑な進行のために必要と認めるときは、交互面接方式(一方の当事者を一時離席させた状態で、他方の当事者からその主張及び意見を聴き、次いで、当該他方の当事者を一時離席させた状態で、当該一方の当事者からその主張及び意見を聴くことを必要な範囲で繰り返す方式をいう。次項において同じ。)により行うことができる。
6 前項の規定にかかわらず、調停手続の期日において、一方又は双方の当事者が同席して調停手続を行うことを拒んだときは、担当調停者は、交互面接方式により調停手続を行うものとする。
7 担当調停者は、一方若しくは双方の当事者から要請があったとき又は必要と認めるときは、調停手続の期日において和解案を提示することができる。この場合において、担当調停者は、当事者に当該和解案を受諾しないことができる旨を告げなければならない。
8 担当調停者は、前項の和解案が特定和解(ADR法第27条の3に掲げる特定和解の適用除外となるものを除く。)の対象とすることが可能である旨を説明するものとする。
9 担当調停者は、調停手続の期日において相当と認めるときは、当事者の請求に基づき、当事者の三親等内の親族又は同居の親族の傍聴を許可することができる。この場合において、担当調停者は、傍聴をする者が担当調停者の指揮に従わないときは、退席を命ずることができる。

(助言の方法)
第33条
担当調停者は、第1回の調停手続の期日が開かれるまでに、助言弁護士に直接面談し、申立てに係る調停手続の実施についての助言を受けなければならない。
2 担当調停者は、調停手続の期日において、前項の規定により助言を受けた法律に関する問題と異なる法律に関する問題が生じたときは、調停手続を中止し、又は問題となる事項の処理を留保して調停手続を進めるものとする。この場合において、担当調停者は、当該調停手続の期日が終了した後、速やかに当該調停手続の期日の概要及び問題となる事項を記載した書面を作成して助言弁護士に送付し、及び口頭により説明して助言を求め、次回の調停手続の期日が開かれるまでに、問題となる事項についての助言を受けなければならない。
3 担当調停者は、当事者間に申立てに係る紛争の解決についての合意が成立する見込みがあると認められるときは、当該合意案を記載した次条の書面を作成して助言弁護士に送付し、及び口頭により説明して、当該合意案に係る法律に関する問題についての助言を求めるものとする。この場合において、助言弁護士が当該合意案に法令違反その他合意の成立に支障が生じるおそれがある問題が含まれると判断し、これを解決することその他の必要な助言をしたときは、担当調停者は、次回の調停手続の期日において、当該助言の内容を当事者に説明しなければならない。なお、当該合意案が特定和解に係るものである場合、当該特定和解の対象の可否、金銭額及び目的物等和解に基づく債務の内容の特定、強行法規又は公序良俗違反の有無等、特定和解内容に関する法律上の問題が含まれると判断したときも同様とする。
4 担当調停者は、第39条第1項に規定する期日調書の写しを調停手続の期日が終了するごとに助言弁護士に送付するとともに、当該期日の概要を口頭で説明するものとする。この場合において、助言弁護士は、当該期日における当事者の主張等に法律に関する問題が含まれており、当該問題を解決することがその後の調停手続の進行を決定するために必要であると認めるときは、当該問題を解決するために必要な助言をするものとする。
5 助言弁護士との連絡方法は、面談、電話、電子メール又はファクシミリのいずれの方法によってもすることができる。ただし、助言弁護士が連絡方法についての指定をしたときは、その指定された方法により連絡しなければならない。

第4節 調停手続の終了

(和解の成立)
第34条
担当調停者は、前条第3項に規定する助言弁護士に助言を求めた場合であって当該助言弁護士から合意案について特段の意見がない旨の回答があった場合は、次項に規定する和解契約書として用いるため、和解の成立の年月日及び合意案の内容を記載した書面を作成するものとする。この場合において、担当調停者は、和解契約書に記載する合意案の内容について、あらかじめ、双方の当事者に読み聞かせ、同意を得なければならない。
2 当事者は、前項に規定する書面に署名又は記名押印して和解契約書を作成する。この場合において、担当調停者は、当該和解契約書に立会人として署名又は記名押印するものとする。
3 担当調停者は、特定和解に基づく和解契約書を当事者に交付しなければならない。
4 和解契約書には、調停手続に関して当事者がセンターに納付する費用の負担割合及び負担額を記載するものとする。
5 調停手続は、当事者が和解契約書の交付を受けた時又はセンター長が和解契約書を配達証明郵便で送付する方法により当事者に送付した時に終了する。
6 和解契約書の作成通数は、すべての当事者の数に1を加えた数とする。
7 センター長は、和解契約書を第40条第1項に規定する手続実施記録に編綴し、保存するものとする。

(申立ての取下げ)
第35条
申立人は、いつでも申立てを取下げることができる。
2 申立ての取下げは、次の各号に掲げる事項を記載した取下書をセンターに提出してしなければならない。ただし、調停手続の期日においては、担当調停者に口頭で告げる方法によってすることを妨げない。

  1. 当事者の氏名又は名称
  2. 申立てを取下げる旨
  3. 申立てを取下げる理由

3 申立人が調停手続の期日において口頭で告げる方法によって申立てを取下げたときは、担当調停者において、その期日において調停手続の終了を決定し、その旨を口頭により当事者に通知することができる。
4 センター長は第2項に規定する書面を受領したときは、直ちに調停手続の終了の決定をしなければならない。
5 前2項の規定により調停手続が終了したときは、事務担当職員は、調停手続の終了を決定した旨及びその年月日を記載した書面を作成して、配達証明郵便で送付する方法により当事者に送付しなければならない。

(終了の申出)
第36条
相手方は、いつでも調停手続の終了を申出ることができる。
2 調停手続の終了の申出は、次の各号に掲げる事項を記載した申出書をセンターに提出してしなければならない。ただし、調停手続の期日においては、担当調停者に口頭で告げる方法によってすることを妨げない。

  1. 当事者の氏名又は名称
  2. 調停手続の終了を申出る旨

3 前条第3項から第5項までの規定は、相手方が調停手続の終了を申出た場合について準用する。

(和解が成立する見込みがない場合)
第37条
担当調停者は、次の各号のいずれかに該当すると判断したときは、当事者間に和解が成立する見込みがないものとして調停手続を終了する旨を速やかにセンター長に報告しなければならない。この場合において、担当調停者は、和解が成立する見込みの有無の判断に当たり、助言弁護士に助言を求めることができる。

  1. 一方の当事者が正当な理由なく2回以上調停手続の期日に欠席したとき。
  2. 一方の当事者が和解をする意思がないことを明確にしたとき。
  3. 直ちに和解が成立する見込みがなく、かつ、事案の性質、当事者が置かれている状況等にかんがみ、調停手続を続行することが、当事者の一方又は双方に対し、和解が成立することにより通常得られることとなる利益を上回る不利益を与える蓋然性があると判断したとき。
  4. 前各号に掲げるもののほか、当事者間に和解が成立する見込みがないと判断したとき。

2 センター長は、前項に規定する報告を受けたときは、直ちに調停手続の終了を決定しなければならない。
3 第35条第5項の規定は、前項の規定により調停手続が終了した場合について準用する。

(その他の終了)
第38条
調停手続は、第8条第7項、第22条第4項及び第34条から前条までの規定により終了するほか、次の各号に掲げるときに終了する。

  1. 申立てに係る事案が和解に適しないとき。
  2. 当事者が不当な目的で調停手続の実施の申立てをし、又は依頼をしたとき。
  3. 一方又は双方の当事者が担当調停者の指揮に従わないため、調停手続の継続が困難であるとき。
  4. 当事者がセンターに納付すべき費用を納付しないとき。
  5. その他、当事者のいずれかが死亡したとき。

2 担当調停者は、前項各号(第4号を除く。)のいずれかに該当すると判断したときは、速やかにセンター長に、その旨及び理由を報告しなければならない。
3 センター長は、前項に規定する報告を受けたとき又は第1項第4号に掲げる事由に該当すると認めるときは、ADR専門委員会の意見を聴いて、調停手続を終了する決定をすることができる。
4 第35条第5項の規定は、前項の規定により調停手続が終了した場合について準用する。

第5章 手続実施記録等

(期日調書)
第39条
担当調停者は、調停手続の期日ごとに次項に規定する事項を記載した期日調書を作成して、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
2 期日調書には、調停手続の期日の日時及び場所、出席した当事者の氏名(代理人又は補佐人が出席したときはその氏名を含む。)、利害関係人が調停手続の期日に参加した場合にあってはその者の氏名又は名称、担当調停者の氏名並びに当該調停手続の期日に実施した手続の経過の概要を記載する。
3 担当調停者は、期日調書を作成したときは、これをセンター長に提出するものとする。

(手続実施記録)
第40条
 センターは、調停手続ごとに次の各号に掲げる事項を記録した手続実施記録(以下この条及び次条において「手続実施記録」という。)を作成し、当該調停手続が終了した日以降永年保存する。

  1. 当事者から依頼を受けて調停手続を実施する契約を締結した年月日
  2. 当事者の氏名又は名称(代理人又は補佐人を定めたときはその氏名を含む。)
  3. 担当調停者の氏名
  4. 調停手続において請求がされた年月日及び当該請求の内容
  5. 調停手続の実施の経緯
  6. 調停手続の結果(調停手続の終了の理由及び年月日を含む。)
  7. 調停手続において和解が成立したときは、その内容
  8. 前項の和解が特定和解に該当する場合は、和解契約書

2 前条第1項に規定する期日調書は、手続実施記録に編綴し、保存するものとする。
3 手続実施記録は、センター長が作成する。ただし、センターの円滑な業務の遂行のために適当と認めるときは、センター長は事務担当職員に手続実施記録の作成を命ずることができる。

(記録の管理等)
第41条
手続実施記録(第11条第3項、第12条第2項、第17条第6項、第19条第4項、第22条第2項、第34条第6項及び前条第2項の規定により手続実施記録に編綴して保存するとされたものを含む。以下この条及び次条第1項において同じ。)に記録された情報は、第6条ただし書の規定により研究又は研修の資料として活用し、又は公表する場合を除き、すべて秘密とする。
2 手続実施記録の管理責任者は、センター長とする。
3 センター長は、事務担当職員を手続実施記録の取扱責任者とすることができる。この場合においては、事務担当職員は、センター長の指揮監督を受けて手続実施記録の保管に関する事務を担当する。
4 手続実施記録は、文書にあっては施錠のできる保管庫に保管し、電磁的記録にあっては当該記録のアクセス制御に係るパスワードを設定し、当該保管庫及びその鍵並びに電磁的記録及びそのパスワードは、いずれもセンター長が管理する。
5 協会の役員及び担当調停者(候補者を含む。)が手続実施記録を閲覧しようとするときは、あらかじめ、センター長に閲覧の目的を告げて、許可を受けなければならない。
6 手続実施記録の全部又は一部をセンターの事務所外に搬出するについては、搬出者、搬出する記録並びに搬出及び返還の日時を記録にするものとする。
7 保存期間を経過した手続実施記録は、センター長において、文書の記載事項が判読できないように裁断し、又は電磁的記録には無効情報を上書きする等の方法により記録された情報が復元できない措置を講じ、当該記録を完全に消去する方法により廃棄するものとする。

(記録の閲覧及び謄写)
第42条
 当事者(当事者であった者を含む。)又は利害関係人は、次の各号に掲げるときは、センターに手続実施記録の一部又は全部の閲覧及び謄写(特定和解に係る和解契約書については、原本に相違ない旨を記載した謄本の交付。以下同じ。)の請求をすることができる。

  1. 和解契約書又は自ら提出した資料を紛失したとき。
  2. 訴訟手続、仲裁手続その他の紛争解決手続において必要なとき。
  3. 閲覧及び謄写の請求をすることに相当の理由があるとしてセンター長が認めたとき。

2 前項の閲覧及び謄写の請求は、次の各号に掲げる事項を記載した書面をセンターに提出してしなければならない。

  1. 閲覧又は謄写を請求する者の氏名又は名称
  2. 閲覧又は謄写を請求する旨
  3. 閲覧又は謄写を請求する理由

3 センター長は、前項に規定する書面が提出されたときは、相当と認める範囲内において手続実施記録の該当部分の閲覧及び謄写を認めるものとする。

第6章 費用等

(費用)
第43条
当事者が調停手続に関しセンターに納付すべき費用の種類、額又は算定方法その他費用の納付に必要な事項は、別に規程で定める。

(報酬)
第44条
センターは、担当調停者に対して、報酬を支払うものとする。
2 報酬の額又は算定方法その他報酬の支払いに関し必要な事項は、別に規程で定める。

第7章 苦情処理

(苦情の取扱い)
第45条
調停手続に関して苦情のある者は、その概要を記載した苦情申出書をセンターに提出して苦情の申出をすることができる。
2 センター長は、前項に規定する苦情申出書がセンターに提出されたときは、速やかに委員長に、その旨を報告しなければならない。
3 委員長は、前項に規定する報告を受けたときは、速やかに次条第1項に規定する苦情処理委員会を設置し、その苦情に係る事情の調査及び苦情処理の方法の審議を行わせ、その結果をADR専門委員会に報告させるものとする。
4 ADR専門委員会は、前項の規定による報告を受けたときは、当該報告に基づき、苦情処理の方法について、審議し、決定する。
5 センター長は、前項の規定による決定の定めるところに従い苦情を処理し、その結果を苦情の申出をした者に書面又は口頭により通知しなければならない。

(苦情処理委員会)
第46条
委員長は、調停手続に関する苦情の調査及び苦情処理の方法を審議させるため、苦情処理委員会を設置する。
2 苦情処理委員会は、委員3人以上5人以内をもって組織する。
3 苦情処理委員会の委員(以下この条において「委員」という。)は、ADR専門委員会委員(苦情の対象となる者を除く。)のうちから、委員長が指名する。
4 苦情処理委員会にその委員長(以下「苦情処理委員長」という。)を置き、委員の互選によってこれを定める。苦情処理委員長は、苦情処理委員会の会務を総理する。
5 苦情処理委員会は、苦情に係る事情を調査した上、苦情処理の方法について審議し、決定する。
6 苦情処理委員長は、前項の規定による決定がされたときは、速やかに、ADR専門委員会に同項に規定する調査の結果及び決定に係る苦情処理の方法を報告しなければならない。
7 苦情処理委員会は、前項に規定する報告をした時に解散する。

第8章 補則

(規程の公開等)
第47条
この規程は、センターに備え置き、来訪した者の求めに応じ、これを閲覧させるほか、協会のホームページに掲載する方法により公表する。
2 センター長は、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第11条第2項の規定に基づき、認証紛争解決事業者である旨並びに本センターの業務の内容及びその実施方法を記載した書面をセンターに備え置く。

(その他)
第48条
この規程に定めるもののほか、調停手続の実施に当たって必要な事項は、会長の承認を得て、ADR専門委員会において定める。
2 協会は、調停手続の業務について、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第5条の認証を取得するものとする。

附 則

この規程は、平成20年9月22日(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第5条の認証を取得した日)から施行する。ただし、第3章の規定は、平成20年5月10日(理事会の決議の日)から施行する。
第3章第14条第2項及び第4章第2節第23条第1項の規定は、平成20年11月8日(理事会の決議の日)から施行する。
第3章第14条第2項第2号、第4章第1節第17条第1項前文、同項第3号及び第8号、同第2節タイトル及び第23条第6項、同第3節第32条第8項及び第9項、同第33条第3項、同第4節第34条第3項乃至第7項、同第38条第1項前文及び同項第5号、第5章第40条第1項前文及び同項第8号、同第42条タイトル、同条第1項前文及び同条第3号の規定は、2024年5月11日(理事会の決議の日)から施行する。

ADRセンター費用報酬規程

(趣旨)
第1条
この規程は、一般社団法人日本産業カウンセラー協会(以下「協会」という。)のADRセンター業務規程(以下「業務規程」という。)第43条の規定に基づき、当事者が調停手続に関しセンターに納付すべき費用についてその額又は算定方法その他必要な事項を定める。

(用語)
第2条
この規程において使用する用語は、特に定めがある場合を除き、業務規程において使用する用語の例による。

(費用の種類)
第3条
当事者が調停手続に関しセンターに納付すべき費用は、次の各号に掲げるものとする。
(1)調停申立手数料
(2)期日手数料
(3)成立手数料

(調停申立手数料等)
第4条
申立人は、業務規程第18条第1項の規定により申立書を提出するときは、調停申立手数料及び第1回の調停期日の期日手数料として、27,000円をセンターに納付しなければならない。この場合において、申立人が協会の会員であるときは、調停申立手数料及び第1回の調停期日の期日手数料は、23,000円とする。
2 業務規程第19条第2項の規定により申立ての不受理の決定をしたときは、前項の費用は、全額を申立人に返還する。
3 第1項の費用は、次の各号に掲げるときは3,000円を控除して、申立人に返還する。 (1)業務規程第22条第4項の規定により調停手続が終了したとき。
(2)相手方が調停手続の実施をセンターに依頼したにもかかわらず、調停手続の期日に一度も出席することなく調停手続が終了したとき。
4 前2項に規定する費用の返還に要する費用は、申立人の負担とする。

(期日手数料)
第5条
当事者は、第2回以降の調停手続の期日に係る期日手数料として、当該調停手続の期日を開く日の前日(当日が休日であるときは、その翌日)までに、それぞれ6,000円を納付しなければならない。ただし、当事者間に期日手数料の負担割合についての合意があるときは、当該合意による負担割合によって算出された額を納付することができる。
2 一方又は双方の当事者が前項に規定する日までに期日手数料を納付しないときは、当該調停手続の期日を開催しない。この場合において、既に期日手数料を納付した当事者がいるときは、当該当事者に納付した期日手数料の全額を返還する。
3 一方の当事者が期日手数料を納付した場合であって当該一方の当事者が無断で調停手続の期日に欠席したときは、相当の理由があると認められる場合を除き、当該期日手数料は返還しない。
4 業務規程第34条第2項に規定する和解契約書を作成するために調停手続の期日を開いたときは、当該調停手続の期日に係る期日手数料を納付することを要しない。この場合において、担当調停者は、あらかじめ期日手数料を納付することを要しない旨を当事者に通知しなければならない。
5 第2項に規定する期日手数料の返還に要する費用は、当該期日手数料を納付した当事者の負担とする。

(成立手数料)
第6条
当事者は、当事者間に和解が成立したときは、成立手数料を納付しなければならない。
2 成立手数料の額は、和解契約書に解決額として記載される経済的利益の額を紛争の価額として、当該紛争の価額について別表に示した基準により算出した額(1,000円未満の端数があるときはその端数を切り捨てた額とする。)とする。
3 前項に規定する紛争の価額の算定が困難な場合は、ADR専門委員会において、事案の性質、複雑困難性その他の事情を勘案して、300万円以下の価額を紛争の価額として定める。この場合において、担当調停者は、ADR専門員会が定めた価額について、当事者に説明しなければならない。
4 当事者間の成立手数料の負担割合は、等分の負担とする。ただし、当事者間に成立手数料の負担割合についての合意があるときは、当該合意による負担割合によって算出された額を納付することができる。
5 成立手数料は、和解が成立した調停手続の期日から7日以内の日(当日が休日であるときは、その翌日)までに納付しなければならない。
6 和解契約書は、成立手数料が納付された後に交付する。

(費用の減免)
第7条
センター長は、当事者が資力に乏しいことその他前3条に規定する費用の一部又は全部を納付することが困難であると認める相当の理由がある場合であって当該当事者から申出があるときは、ADR専門委員会の意見を聴いて、当該費用の一部又は全部を免除することができる。
2 当事者が、前項に規定する申出をするときは、費用の一部又は全部を納付することが困難であることを証明する資料をセンター長に提出しなければならない。

(費用の納付の方法)
第8条
この規程に規定する費用は、センターに現金で納付しなければならない。ただし、あらかじめセンターが指定した金融機関の口座に振込む方法により納付することを妨げない。
2 当事者は、前項ただし書の規定により費用を金融機関の口座に振込む方法により納付したときは、当該振込みをしたことを証する書面をセンターに提出又は提示するものとする。

(その他)
第9条
センターは、この規程に定める費用のほか、調停手続に要する実費が発生したときは、当事者の同意を得て、当該実費を納付させるものとする。

附 則

この規程は、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)第5条の認証を取得した日から施行する。

別表 成立手数料算出基準

紛争の価額(A) 成立手数料
300万円以下 A×8%
300万円超-1,500万円以下 24万円+(A-300万円)×3%
1,500万円超-3,000万円以下 60万円+(A-1,500万円)×2%
3,000万円超-5,000万円以下 90万円+(A-3,000万円)×1%
5,000万円超-1億円以下 110万円+(A-5,000万円)×0.7%
1億円超 145万円+(A-1億円)×0.5%

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