新型コロナウイルスによる不安やストレスなどの心の問題に対処するために

職場でコロハラを起こさないために

新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐ方策として現在テレワークの導入が進められています。しかし、テレワークが出来ない職種、準備が難しい職場も多くあり、事業継続のために工夫しながらも一部社員は出社している状況が多いのではないでしょうか。

正社員のテレワーク実施率が27.9%、7都道府県の正社員の出社率も4月10日時点で58.5%という調査結果も出ています。(※)
不安や葛藤を抱えながらも出社し仕事をしている、その不安やストレスがコロナハラスメントという形で他者に向かった時、職場ではどうしていけば良いのでしょうか。

 現在コロハラという表現は様々なケースで使われていますが、今回は職場で働く人同士の間で起こる理不尽な差別や嫌がらせについて取り上げます。

職場でおきていること

電車の中であれば、近くの人が咳き込んでいるときそっと自分から離れていくことで済むでしょう。
しかし、職場の場合はそうもいきません。なんとなく気になりながらもお互い自己管理はしているという信用や、普段のその人との信頼関係のもとに仕事を続けるということになるのではないでしょうか。

風邪気味で念のためお休みし、回復して出社する方もいるでしょう。
最近耳にするのが、そういう方が心無い言葉を投げられているという状況です。「うつったらどうしてくれるのよ!」「よく出て来られるね」といった感染を決めつけるような言い方や、露骨に避けられるというようなことが起きています。
 

コロナハラスメントの背景にある感情とは

人は欲求不満の状態に陥った時に攻撃的になったり退行したり、何かに固執したりします。
今回の新型コロナウイルスは、人々にこれまで経験のない不安と恐怖、そして我慢を強いており、安全安心という欲求が満たされない状況が続いています。 抱えきれなくなった不安は怒りにかわり、相手を攻撃するのです。コロナハラスメントの背景にあるのはそういった感情と言えるでしょう。

 もちろんその状態に耐えることが出来る人もいます。その力を欲求不満耐性(フラストレーション・トレランス)と言いますが、今ネット上では様々な動画やメッセージが出され、この状態に耐える力を互いに補い合っています。

 ただ、前述のように自分では大丈夫と思いながら出社したときに、まるで今感染しているかのような扱いを受けたり、周囲から避けられたりしたらどんな気持ちになるでしょうか。

 現状誰しも決して感染していない、と断言できない状況ですので、本人ももしかすると・・という不安が増し、追いつめられたり自分を責めたりしていかないでしょうか。これまで一緒に仕事をしてきた同僚からの思いもよらぬ理不尽な一言に大きなショックをうけ今度は体調ではなく精神的に出社できなくなってしまうこともあるのです。その状態が続くと抑うつ状態にもなりかねません。

コロハラを起こさないために個人でできること

もし出社してきた人に不安を感じるのであれば、その不安をぶつけるのではなく、「この状況だから気になってしまうんだ、もしよかったら今の体調のこと教えてくれる?」と自分の心配を伝え、相手が答えやすいように質問をしてみてはどうでしょう。

相手も自分の状態を分かってもらいたいと思っている可能性もあります。
あるいは、直接本人ではなく上司などに同じように聞いてみても良いと思います。
また、新型コロナウイルスの不安にさらされていることでいつのまにか気持ちに余裕がなくなり、いつもの自分よりもイライラしがちになったり、怒りっぽくなったりしているかもしれません。

ストレス対処法が様々なところから紹介をされていますので、参考にしながらできるだけ自分がリラックスできたり楽しめる時間を持つことを意識的に行ってみてください。
 

組織としてのコロハラ対策

今後は風邪の人だけではなく、濃厚接触者だった方、或いは感染から回復した方とも職場で一緒に仕事をしていくケースも増えてくるでしょう。組織としてはその方たちに対するコロナハラスメントという二次被害を防がなくてはなりません。

基本的にはパワーハラスメント対策と同様、組織の方針や社内でのルールを決める(3密にならないような職場環境をつくる等)、それを周知し徹底する、そして可能な範囲で職場で起きていることの情報を共有することが重要です。
人のうわさは、「コロナだったら嫌だね」「コロナかもね」「コロナらしいよ」と誤った情報になりがちです。組織としてどういう対応を取っているかを明確にし、一緒に働く人たちに理解をしてもらうことです。

 また、不安を相談できる体制も必要です。上司や人事の方が不安や不満を聴くこともあるでしょう。今そういう気持ちになるのも当然ですので、思いを受け止めつつ会社の対応や取り組みをお伝えすることになるかと思います。その上で、職場にハラスメントやメンタルヘルスの相談窓口があればご案内をしてください。現在、多くの自治体で相談窓口を開設しています。

日本産業カウンセラー協会も働く人の電話相談を行っています。

コロナハラスメントになるような言動をした方もされた方もどちらも悪いわけではありません。
異常事態の中では起こりうるという前提にたって、今は対処をしていきましょう。

※パーソル総合研究所:緊急事態宣言(7都府県)後のテレワークの実態にいて(4/10~12の調査結果)より

 ​一般社団法人日本産業カウンセラー協会
シニア産業カウンセラー・ 協会スーパーバイザー
中川智子

上記と同じ内容をPDFにしています。周りの方への情報提供にご活用ください。
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