序文
現代社会は、急速な技術革新や働き方の多様化、経済・環境の不確実性など、かつてない変化の中にあります。こうした環境のもと、働く人々が直面する悩みや課題は一層複雑化し、心身の健康や職業人生に深い影響を及ぼしています。
産業カウンセラーは、こうした変化に的確に対応し、働く人の心の健康やキャリア形成に関わりながら、個人が持つ力を発揮して社会の中で自律的に生きることを支援する専門職です。その役割は、個人の相談に応じることにとどまらず、組織や社会に対しても倫理的かつ建設的に働きかけることが求められます。
私たちは、産業カウンセラーとしての使命と社会的責任を常に意識し、高い倫理観と専門性を備えて、関わる人々に安心と信頼をもたらす存在でありたいと考えます。そのためには、継続的な学びと誠実な姿勢を保ち続けることが重要です。
本倫理綱領は、産業カウンセラーが専門職としての品位と矜持をもち、社会的信頼に応えながら誠実に職務を遂行するための行動の指針として定めるものです。
前文
近年、社会の構造や働き方の在り方が大きく変容するなかで、働く人々が抱える課題も多様かつ複雑になっています。こうした変化に対応し、働く人が心身ともに健やかに働き、生きがいを持てる社会を実現することが求められています。
産業カウンセラーは、人間の尊厳と多様性を尊重し、働く人々のウェルビーイングの向上に寄与する専門職として、心の健康や職業的自立を支援します。その使命を果たすため、高い倫理意識と専門性を保ち、誠実な姿勢で自己研鑽に努めます。
本倫理綱領は、産業カウンセラーが専門職としての責任を自覚し、関わる人々の信頼に応えるための行動指針であり、支援を受ける人々の権利を擁護し、公正で健全な産業社会の発展に寄与することを目的としています。
第1章 基本原則
使命
| 1条 |
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産業カウンセラーは、働く人々の尊厳と権利を擁護し、働く人を取り巻く社会環境と個人の両方に働きかけ、そのウェルビーイングを向上させることを使命とする。
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責任
| 第2条 |
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産業カウンセラーは、高度な専門性と倫理観を保持するとともに、自己の能力の限界を認識し、必要な場合には他の専門家と連携し、協力を求める。
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基本的人権の尊重
| 第3条 |
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産業カウンセラーは、多様な価値観、文化、ライフスタイルを尊重し、人種、国籍、信条、性的指向、性自認、年齢、障がい、社会的背景などによる差別をしない。 |
職業倫理の遵守と実践
| 第4条 |
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産業カウンセラーは、常に専門職としての自覚を持ち、その品位と矜持を損なうことのないよう努め、言動、態度においても社会の模範となるよう心がける。
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社会的信用の保持
| 第5条 |
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産業カウンセラーは、その専門性と倫理に基づいた活動を通じて社会からの信頼を得るよう努め、その信用を損なうことのないよう常に自らを律する。
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守秘義務の遵守
| 第6条 |
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産業カウンセラーは、職務上知り得たクライエント及び関係者の秘密を厳格に保持し、正当な理由なく、本人の同意なしに第三者に開示しない。
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| 2 |
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守秘義務は、カウンセリング終了後も同様とする。
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専門性の維持向上
| 第7条 |
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産業カウンセラーは、継続的な学習と自己研鑽に努める。
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| 2 |
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最新の知識と技能を習得し、質の高いサービスを提供する。
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| 3 |
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スーパービジョンを積極的に活用し、自己の専門性を評価・改善する。
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研究活動と専門性の発展
| 第8条 |
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産業カウンセラーは、自身の専門性を高め、より良いカウンセリングを提供するために、関連分野の研究に積極的に取り組む。
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| 2 |
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その研究で得られた成果は、適切に発表することで、産業カウンセリング全体の発展と社会への貢献に努める。
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信用失墜および不名誉行為の禁止
| 第9条 |
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産業カウンセラーは、自らの行為が産業カウンセラー全体の信用を失墜させ、または不名誉となることのないよう、常に高い倫理的判断に基づき行動する。
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| 2 |
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この行動には、職務内外における非倫理的な行為、違法行為、社会規範に反する行為を含むものとする。
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第2章 行動指針
カウンセリングの実施
| 第10条 |
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産業カウンセラーは、クライエントのニーズと状況に合わせた適切な方法を選択し効果的な介入を行うことでクライエントの課題解決を支援し、カウンセリングの効果検証を実施し改善に努める。
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説明と合意
| 第11条 |
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産業カウンセラーは、カウンセリングの目的、方法、期待される効果、起こりうるリスク、守秘義務の範囲、料金体系等について、クライエントが十分に理解できるよう、適切な情報を提供し、クライエントの合意を得る。
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説明責任
| 第12条 |
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産業カウンセラーは、その職務遂行において、クライエント、所属組織、その他関係者に対し、自身の専門的な判断、実施したカウンセリングの内容、及びその結果について、適切かつ分かりやすく説明する責任を負う。
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危機介入
| 第13条 |
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産業カウンセラーは、クライエントまたは第三者の生命、身体、財産に重大な危険が及ぶ可能性がある場合は、関係機関と連携し、適切な対応を行う。
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自己決定権の尊重
| 第14条 |
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産業カウンセラーはクライエントが自己決定する権利を尊重し、自己決定の内容や意味を考察できるよう援助する。
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クライエントとの関係
| 第15条 |
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産業カウンセラーは、専門家としての判断を損なう危険性あるいはクライエントの利益が損なわれる可能性を考慮し、クライエントとの間で多重関係を避けるよう努める。
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| 2 |
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産業カウンセラーはクライエントとの間にカウンセリング関係以外の関係を持ってはならない。万一、そのような可能性がある場合は、カウンセリングを中止するか、他のカウンセラーに依頼する。
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記録と情報管理
| 第16条 |
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産業カウンセラーは、個人情報保護法などの関連法規を遵守し、適切な記録を作成・保管するとともに情報の安全性を確保し、オンラインでの情報管理が必要な場合には適切なセキュリティ対策を行う。
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技術革新への対応
| 第17条 |
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産業カウンセラーは、オンラインカウンセリング、AI等の技術革新に対応し倫理的な活用を推進するとともに、技術革新がもたらす倫理的課題について対応を図る。
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第3章 企業・団体組織との関係
組織との連携
| 第18条 |
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産業カウンセラーは、組織の目標を理解し組織との協力関係を築き、組織の倫理的課題について専門家の立場から助言・提言を行う。
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利益相反への対応
| 第19条 |
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産業カウンセラーは、組織とクライエントの利益が相反する場合にはクライエントの利益を優先し、利益相反の可能性についてクライエントと組織に説明し合意を得る。
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情報開示
| 第20条 |
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産業カウンセラーは、組織からの情報開示要求に対しては守秘義務を遵守しつつ法令や契約に基づき適切に対応し、情報開示をする場合はクライエントの不利益を最小限にする。
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第4章 雑則
倫理綱領委員会
| 第21条 |
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本倫理綱領の改廃の決定や運営に関する諸調整を行うため、日本産業カウンセラー協会内に倫理綱領委員会をおく。
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| 2 |
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倫理綱領委員会に関する詳細事項は、別途定める。
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| 附 則 |
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この綱領は、平成18年5月27日より施行する。 |
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この綱領は、平成28年7月9日より改定施行する。
この綱領は、平成30年6月2日より改定施行する。
この綱領は、2026年6年27日より改定施行する。
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産業カウンセラー倫理規程
倫理懲戒規程